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日本顔学会セミナー『阿修羅の顔の謎を解く』

「国宝 阿修羅展」で阿修羅の顔の謎を解く!!


2009年6月17日(水)

5月27日に行われた、第34回 日本顔学会イブニングセミナー『阿修羅の顔の謎を解く』に参加しました。
講師は元東京大学教授で日本顔学会会長の原島博先生。
私は第15回からイブニングセミナーに参加していて、第17回から今回の34回までは皆勤賞なのですが、イブニングセミナーで会長の原島先生が講師をされるのは初めてです。
(いつも原島先生は司会とオブザーバーをされています。)
※調べてみたら第1回の講師が初代会長の香原志勢で、第2回が原島博先生でした。

昨年12月に新宿駅で「阿修羅展」の大きな広告を見て「必ず行こう!」と思ったのですが、先に原島先生の謎解きを聴くことなりました。

さすが“顔学の第一人者”原島先生。
見事に阿修羅の3つの顔の謎を解き明かしました!!

まずは原島先生の分析を振り返ってみたいと思います。

きっかけはNHKの番組「ワンダー×ワンダー」からの依頼だったそうです。
阿修羅の顔については「研究も山のようにあるはずだ」と思っていたもののなかったそうです。
原島先生は30分間見続けることで阿修羅の表情の読み解きました。
※「顔学の専門家が科学的に」ではなくあくまでも直感。

まず「顔」の前に、興福寺の阿修羅像そのものについての解説がありました。
阿修羅像は一番手前の右腕は一度破損していて、今あるのは明治時代につけたもの。
元のほうがが自然で、明治以降のはヒジを強引に持ち上げて合掌させている。
(明治以降のかっこうのほうが疲れる。)

これも
「阿修羅は不自然な魅力がある。」の一因になっている。

3つの顔はそれぞれ何を意味するのか?

左の顔は下唇を噛んでいて怒っている。
右の顔は目がどこを向いているのかわからない。


顔学の立場では、子供の顔と大人の顔では目の位置が違う。
「左の顔」→「右の顔」→「正面の顔」の順に目の位置がどんどん上になっている。

これは「左の顔」→「右の顔」→「正面の顔」で1人の人間の成長を表している。

鼻筋も年齢とともにしっかりするが「左の顔」→「右の顔」→「正面の顔」の順にしっかりしている。


●3つの顔の表情は何を意味するのか?

・左の顔
くやしがっている
下唇を噛んで、目が上がっている
子供が拗ねている、反抗している、自分が正しいと思っている。

・右の顔
目の力が弱い(視線が定まらない)
力がない
ふっくらしていて引き締まってない
内側にパーツが寄っている 苦悩の顔
表情が内側になるのは自分の内側に籠もる時
(※悩んでいる時は目と目の間を離すのを心がける)


・正面の顔
生きる意志が見える
悩みもある(眉に見える)
希望
※横顔を見ると視線の高さが正面の顔は前を見て右の顔は下を見ている。

「左の顔」反抗→「右の顔」苦悩→「正面の顔」希望

阿修羅の顔にはドラマがある。
(そう見えちゃう)
※顔はイメージだから、一度そうイメージするとそう見える。

●阿修羅は日本人である。
鼻が他の仏像と違ってあまり高くなく小さい。
日本人の鼻だから親近感がわく。

●阿修羅の表情には無限に変化する。
表情は眉に表れる。※眉がないと怖い(その人が何を考えているのかわからない)。
(正面顔の)阿修羅の眉は絶妙の眉。
いろんな表情に見える。

●光の当て方、見る方向によっても変わる。
正面顔は意志的だが、横顔は柔和。

●上半分と下半分
眉が見えている顔(目元より上)と眉が見えていない顔(目から下)で全然表情が違って見える。
上半分(眉、目)は悲しんでいる。
下半分(目、口)は柔和に微笑んでいる。

少年の顔をした阿修羅
日本人の顔をした阿修羅
無限に表情が変化する阿修羅
→見る人は、そこに自分の心を映し出す。
→しかも、阿修羅の顔にはダイナミックなドラマがある。

本当にお見事です。
特に「左の顔」→「右の顔」→「正面の顔」で1人の人間の成長を表している。
「左の顔」反抗→「右の顔」苦悩→「正面の顔」希望(阿修羅の顔にはダイナミックなドラマがある。)

ここまで納得性があり、夢のある分析をされてしまうと、以後誰もこの説を否定することはできません。


しかしながら
“「顔」は見る人によって違って見える”
というのも「顔」のおもしろさなので、私も生の阿修羅の顔を見ることで阿修羅の謎に迫ってみることにしました


その前にケータイサイト『顔面恋愛術・顔面仕事術』の「顔の雑学」第2回 仏像の顔で阿修羅像について書いていた箇所を。
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鎌倉時代に作られた仏像には「男前」が多く、興福寺の阿修羅像(奈良県)は、ほっそりとした輪郭に涼しげな目、そしてちょっと困ったように眉を寄せた憂いを含んだ表情をしてます。その顔はまるで永遠の青春スタージェームス・ディーンを連想させる美少年顔です。身体も細身で上半身は甲冑(かっちゅう)もなしでほぼ裸。その姿はコンサートで上着を脱いで踊るのジャニーズのタレント並みの美しさです。
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さて、
日本顔学会セミナー『阿修羅の顔の謎を解く』が開催された翌々日の5月29日「国宝 阿修羅展」に行ってきました。

一段上のスロープから正面顔をじっくり見る。

阿修羅像のフロアに降り
前から2番目の位置で左→後ろ→右→正面とぐるっと1周。

(どうしても、原島先生の説にしか見えない。)


さらに5重6重になって見ている人だかりの外側から全体をぼんやり眺めて歩く。

解けた!
阿修羅の顔の謎が!


3つの「顔画像」だけだったり、阿修羅像の3つの顔ばかりを意識して見ようとしすぎて見えなかったものが、「遠山の目付け」によって見えました。


阿修羅の顔は正面の顔だけが本当の顔で、左右の2つの顔は仮面だったのです!!

顔画像や実際の阿修羅像の顔の形(顔相)や顔の表情だけを見ていてはわかりませんが、顔という一点を集中して見るのではなく、今回の「国宝 阿修羅展」のように全体を眺めることができればそれがわかります。

1.まず、左右の2つの顔は正面の顔より1段上の位置についています。

正面から見た場合、視覚的には3つの顔の高さは同じに見えますが、
物理的には左右の2つの顔は顎の位置と額(髪の生え際)の位置が正面の顔より上にあるのです。

本当の顔の側面に似たような顔の仮面を2つ付けているので、左右の顔の位置は正面の顔より上になります。

2.正面の顔は右目(向かって左)に明確に黒目の中に光る輝きがある。生きた目をしている。
つまり、
この正面の顔のみ心がある。

3.正面の顔の顔には動きがある。
正面顔は左眉(向かって右側)の眉頭が動こうとしていて悩ましい。
表情の変化があるのは生きているからだ。

結論:左右の顔は仮面

本来、戦いの場では相手に心理を悟られないために感情を出さない。
阿修羅は戦いの時に、左の悔しい顔(仮面)と右の怒った顔(攻撃的・集中している顔・仮面)を使い分けることで相手を欺いた。

では、正面の顔の表情は何を表すのか?
この顔は「勝利の達成感」とともに「自分が生きることで相手が死ぬ」という戦いの虚しさ、相手に対する憐れみの表情である。


------------------

●その他、阿修羅の分析

右の顔と左の顔の眉は短いが、本来眉はもっとあった。
(正面顔と比べて左の顔と右の顔は眉から額にかけての損傷が激しい。色が剥がれている。)
眉が短くなることで、左右の顔はより子供っぽい少年っぽい顔になっている。

正面の顔の魅力はアシンメトリーだけどバランスがとれている。
左眉(向かって右側)の眉頭が動こうとしていて悩ましい。
左目(向かって右側)のほうが大きく優しい。
鼻は小鼻の大きさが向かって左側が大きく
上唇は向かって左側が微妙に上がっていて向かって右側が厚い。
唇がふっくら厚く女性的。
唇が厚いのは愛情深く、下唇より上唇がとても厚いのは与える愛が強い。

戦闘の神の名にふさわしい闘う目でありならが、この愛情深い唇の造形によって魅力的になっている。

いかがでしたか?

結論:
「顔」を感じることは面白い。
「顔」を考えることは面白い。



東京・上野公園の東京国立博物館平成館で開催されていた「国宝 阿修羅展」は6月7日に閉幕し、同博物館の日本美術の展覧会として史上最多のは94万6172人を動員しました。
「国宝 阿修羅展」は7月14日〜9月27日、福岡県太宰府市の九州国立博物館でも開催されます。ぜひ、皆さんも自分の目で実物の阿修羅像を見てみてください。


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