2008年9月22日(月)
7月16日に行われた、第33回 日本顔学会イブニングセミナー『片眼つぶりは何を意味するか』〜顔の表情と全身の身ぶりの動作学〜に参加しました。
講師は日本顔学会初代会長・顧問で立教大学名誉教授の香原志勢先生。
香原先生は、記念すべき第1回イブニングセミナー『顔の進化の進む道』の講師で、1995年7月27日以来2回目の登壇となりました。
現会長の原島先生を除いては、イブニングセミナー連続参加14回(第17回『顔と心』〜リハビリメイクの立場から〜連続)という記録を持つ私も、最初に参加したのが、2000年1月11日の第15回『顔面トラウマ』〜顔にきずのある人の気持ち〜からなので、香原先生の講演は初めてです。
※改めて『日本顔学会』及び『顔学』の歴史を感じました。
かなり時間が経ってしまいましたが、気になったところを振り返ってみたいと思います。
※赤字が私の言葉です。
身ぶり、しぐさのラテラリティ
情緒的な心性が優位な時には、全身運動は左右対称的に発現する。
感動した時の拍手、歓喜のあまり万歳、怒りの時には両手の拳を握る、感謝にたえない時は(日本人ならば)おのずと頭が前に下がるetc...。
他方、意識的、意図的な心性を持つ時には、体は左右非対称な姿勢、しぐさになる。
「片手で頬づえをつく」「片方の手で鼻をこする」「片手で頭をかく」etc...。
全身、特に上肢は左右非対称になる。(用いる手は利き手)
宗教的儀礼も左右対称。
神道の拍手、仏教やキリスト教の合掌、イスラム教の跪拝はすべて左右対称な姿。
宗教的雰囲気はすぐれて情緒的なものだからであろう。
「なぜ人類に右利きが多いのか?」に動作学的に回答することができない。
傾向として右側の力が強い。
「イスラム教では左手は失礼」というのに代表されるように右手を重視する文化の影響と、本来の右利きが結びついているのではないか?
ラテラリティは利き手以外にも、利き足、利き眼、利き顔がある。
私は、利き手は左、利き足は左、利き眼は右、利き顔は右です。
これはたぶん、スポーツをする時に子供の頃から左足が後ろにくる左半身に構えていたためではないかと思います。
利き手・利き足が左で、相手に近い右眼で相手を見る、右眼で見やすいように右側の顔を相手に向ける習性からなったのでは?
咀嚼の時や寝るときの姿勢が左右どちらか側かに偏ると顔の歪みに繋がるのですが、私の場合どうもクセとして、睡眠時に左側を下にすることが多いようです。(なのでそれに気づいた時は意識して右側を下にします。)
左手を使うことが少ないイスラムの人は、他の文化圏と比較すると圧倒的に利き手が右利きであることが多いはずですが、利き眼、利き顔はどうなのでしょうか?気になります。
何となく、中東の人の顔は、日本人や欧米人よりもシンメトリー度が高そうなんですが、影響はないのでしょうか?
顔の表情ラテラリティ
赤ちゃんの笑い顔、泣き顔はもちろん、大人が大笑いする時、悲嘆にくれる時、憤激する時、怒髪天を突く時、泣き崩れる時、真顔に戻る時、真剣に見つめる時、ねむたい時、ぼけっとしている時などはすべて左右対称的であるが、いずれも情緒的な心情を表している。
これらに対して、苦笑いする時、口をへの字に曲げてせせら笑う時、ほくそえむ時、いまいましく思う時、あざける時、けなす時、矛盾を感じる時はすべて左右非対称になる。
これによって、本人の利き顔を知ることができる。
口中心の下顔部に比べ、眼や眉を中心とする上顔部の筋肉は動かしにくく、特に片側だけ動かすことは人により巧拙、でき不できの差が激しい。
ウインクはたぶん意図的な表情。(口で語ることを眼で語る顔)
驚いたり、意外と感じた時、片眉がぐいと上がる。これは意図的な表情。
しかし、日本人やモンゴロイド(東アジアの人々)の間ではこれをうまくできないものが多い。
直立姿勢をとる人体は両手が自由になり、左右別々に動かせるため、身ぶり、しぐさがきわめて表現的になりうる。また、人間の顔の毛が著しく少なくなったことは、表情運動にはたいへん都合がよい、いずれも、身体言語を語るにふさわしいものになっている。
※皮肉を言う人は口が歪んでいる(ように表現される)。
実際、歯が悪い虫歯の人で、自分の不健康が原因で皮肉を言うのかも?
片眼つぶりが出来るのはアイヌ人7割、アメリカ白人5割以上できるのに対し、ヤマトンチュー(和人)は4割。
片眼上げはアイヌ人、アメリカ白人の大多数ができるのに、和人、アジア人はほとんどできない。
このように、顔にでる非対称の表情に人種差があるのは、文化的な影響ではなく遺伝的なものである。(眉や眼など上顔面部の表情筋が大脳中枢の両側支配を受けていて、この支配神経に人種差があるからのようだが、詳しくはわかっていない。)
通常、片眼つぶりすることはない。
片眼つぶり、片眼上げができないからと言って生活上は困らない。
私たち日本人はもともと顔がそんなに動かない文化。
モンゴロイドについて
モンゴロイドはシベリアに押し込まれ、
寒冷適応(寒さ対策)によって特徴的な顔になった。
出っ張っているところはできるだけなくしたほうがいい。
眼球の大きさは同じだが瞼の脂肪の量が他の人種と違う、だから目が細い。
モンゴロイドは寒さに耐えるため、ヒゲ、体毛が薄い。ヒゲがあると温かいのではなく凍ってしまう。
東アジアでヒゲが多いのはアイヌ、沖縄、ヤマトンチュー。
気になったのは、
“耳たぶは人間だけが持っている。”
なら、人間はなんのために「耳たぶ」があるのか?
人間が直立歩行によって動物の顔と大きく異なるようになったり、モンゴロイドが寒冷適応によって特徴的な顔になったのと同じように、「耳たぶ」には理由がありそうです。
※耳たぶのない人もいたり、男女では男性のほうが耳たぶのある人が多かったりするのも何か意味があるのかも?