2005年12月27日(火)
12月5日に行われた、第29回 日本顔学会イブニングセミナー「顔を見つける・見分ける」〜コンピュータの目で顔を見る〜に参加しました。
講師はオムロン株式会社センシング&コントロール研究所の川出雅人さん。
内容は「1.コンピュータの目で顔を見る」「2.顔を見つける〜顔検出技術」「3.顔検出技術の応用事例」「4.顔を見分ける〜顔認証技術」「5.顔認証技術の応用事例」の5つでしたが、印象に残った点のみ簡単に振り返ってみたいと思います。
※赤字が私の言葉です。
●顔からは「その人固有の情報」が豊富に発信されている。
(位置)>何人?、どこにいる?
(属性)>女性?、20代?、アジア系?
(本人)>誰?、Aさん?
(状態)>眠い?、笑ってる?、どこを見ている?
顔学の世界では何度も言われていることですが、これって凄い情報ですよね!
●顔検出の課題〜(1)顔自身の課題
顔は万人共通である一方、非常に多様で、かつ変化する
・顔の多様性:人種・性別・年代の多様性
個人差 肌・瞳・髪・眉の色の多様性
器官の形状・位置の多様性
髪型・肌のテクスチャ(皺・シミ他)、髭などの多様性
・顔の変化の多様性:顔の向き・傾きの変化
視線の変化
表情変化(器官の動き、皮膚の動き)
・顔への付加物の多様性:帽子、カツラ、メガネ、サングラス、マスク、化粧など
●人間の視覚に学ぶ
人間は生まれた直後でも、目と口をあらわす3つの黒い点に注目することが知られている。
有名人のサインには簡単な似顔絵を描くケースがあるんですが、だいたい鼻がなくて目と口だけなんです。実は私のサインも顔の絵は描くんですが鼻がありません。パソコン用の顔文字にも鼻がないです。目と口をあらわすものさえあれば顔に見えるんですね。
「鼻があると顔の中で主張しすぎるので、こういったフェイスマークには鼻を描かない」と言うのが理由じゃないかと思います。
顔検出技術を使った実験では、人が複数いても、顔の向きがさまざまでも、いろんな人種がいても、顔を部分的に隠すようなものがあったとしても瞬時に顔を検出していたのには驚きました。
これらの技術の応用例としては、このようなものがある。
・「顔で遊ぶエンターテイメントコミュニケーション」
似顔絵自動作成、自動ヘアカラー・チェンジ美肌補正、美白補正、くちびるぷるん、目キラキラ。
・「顔をきれいに誰でも簡単にプロ画質デジタル画像機器」
顔オートフォーカス(人物が画面のどこにいても、顔にピントの合った写真が撮れるカメラ)
●顔認証の流れ
顔検出→顔特徴点検出→顔照合(前処理→特徴量検出→識別器)
画像のどこに顔がありますか?→目や口はどこにありますか?→いい証明下の正面を向いた顔は?→目はどんな形ですが?→本当にAさんですか?
顔認証は90%以上の正解率があるとのことだった。
更に精度が上がって100%となったら、あらゆる個人情報が詰まった携帯電話に搭載されるとのこと。
最近テレビでも「セキュリティー携帯」のCMが流れていますが、顔で本人かどうかを携帯のカメラで認識することが出来れば、顔が完全にIDとして使われるようになるのでしょうか?