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「フォーラム顔学2003」第8回日本顔学会大会

2003年11月6日(木)
9月27日、28日の2日間に渡り開催された「フォーラム顔学2003」第8回日本顔学会大会についてです。
今回は私が前回参加した
2001年と比較して顔そのもののことよりも顔画像に関連した工学的な演台が多く、私の研究領域とリンクするものは少なかったですが、約40の演題・特別講演の中から、個人的に面白かったものをピックアップして振り返ります。
※赤字は私の言葉です。

【顔画像における複数の特徴量を用いた性別・年齢推定法】
「頬と唇の色が違うほど女性の可能性が高い(化粧によるもの)。」という結果。
性別に対しては2%の間違いしかなかった。それも「少年を女性とした場合」と「メガネの場合」である。
年齢に対しては70%が当たっている。間違っている場合でもとなりのクラス(年齢を10歳きざみ)なのでかなり正解率が高い。
「じゃあ、まず、性別は?」って聞かれるビタミン剤のテレビCMがありますが、女性が言われない為には“まず、口紅を塗ること”ですね。

【隠れ意味索引付けに基づいた顔イメージのキーワードと視覚特徴による検索】
テキストと視覚的な情報を統合するための試みとして、検索ブラウザを開発し、その際キーワード数93個、部位データ24カ所によって分類し、実験を行った。
ちなみに私が監修をしている「顔占いラブラブ」では、テキストのキーワード数が75個です
「顔占いラブラブ」以前に監修を務めていた「似顔絵占いFAO」の場合、実際に似顔絵を作るプログラムもあったので、テキスト、画像合わせて約300個のデータを組み合わせていました。

この検索ブラウザでは、今後は色情報もイメージキーワードとして取り入れる予定。
顔イメージは、色艶で大きく違ってきます。
私は雑誌の取材やパーティーの席では必ず「先生は顔相の専門家だけあって顔の色艶が凄く良いですね」と言われるのですが、顔の色艶を良くするにはしっかりと睡眠をとることです。とにかく睡眠が大事。あとは顔のそれぞれのパーツが持っている機能をちゃんと使うこと。もちろん、キチンと食事する事は言うまでもありません。


【対話型GAを用いた似顔絵システムの検討】
「似顔絵は、とても身近で親しみやすいメディア!」
「面白い似顔絵とは、例えば、強烈なデフォルメ・独特なタッチ」=「対象人物の特徴をうまくとらえている」
このシステムは、誰にでも「相手の雰囲気をうまくとらえた似顔絵」が描けるような環境作りを目指した似顔絵作成システム
似顔絵を描くとは、相手の印象をとらえる(人間の感性に基づく)→その印象を似顔絵として表現する(画力や表現力が必要)
このシステムでは「相手の印象をとらえる」を人間に任せ「その印象を似顔絵として表現する」をGAを用いてコンピュータで行う。
(注:対話型GA=対話型遺伝的アルゴリズム)
似顔絵に使われそうな線と顔部品を11項目作成する。
「1.目、2.眉、3.鼻、4.口、5.額、6.鼻横、7.鼻下、8.ほっぺた、9.あご、10.耳、11.輪郭」
線の結び方や表示・非表示の切り替えをフラグで表現することにより、豊かな表現力を実現できるようにした。
豊かな表現力を実現できるよう似顔絵モデルを設計をした結果、特徴点は178個、フラグは96個。
設計した似顔絵モデルを使用して、対話型GAにより所望の似顔絵を作成する。
発表した東京大学大学院・学際情報学府、原島・苗村研究室の中洲俊信さんは、元々ご自身で似顔絵を描いている(美輪明宏、ガッツ石松、内藤剛志、竹中直人の似顔絵を見ましたが、とても特徴を掴んでいました。また、このあとのパーティーでお話させていただいたところ、このホームページの似顔絵も見ていただいているとのことで、いろんなタッチの似顔絵を研究してらっしゃいました。)のですが、このシステムを使って作成した山下真司、長嶋茂雄の似顔絵の発表もあり、コンピュータでここまで精度の高い(特徴をうまくとらえた)似顔絵が作成できるということに驚きました。

【日本人写真スケールを用いたアメリカ白人女性のしわおよびたるみの評価】
表情筋を動かすとシワになり、動かさないとタルミになる。

【耳介部からの年齢と性別の推測】
結果。耳垂(耳たぶ)の付着状態は、男性では分離型が多いが、女性では密着型が多い。
また、男性では長い耳垂が圧倒的に多く、女性では男性に比べて短い耳垂の出現率が高い。

【ピアスによる耳垂(耳たぶ)の変形とその修正】
顔の中で耳は忘れられがち。
だけど耳の形は面白いですよ。電車の中でいろんな人の耳を見てみてください。様々な形がありますから。
興味深かったのはこの下のデータです。

●ピアス孔をあけたきっかけ
・男子
ただ何となく(24%)
自己の主義出張(23%)
運命がかわる(39%)
・女子
ただ何となく(41%)
種類がたくさんあってきれい(31%)
運命がかわる(13%)
友人がしているから(13%)
女子はともかくピアスで運命が変わると思っている男子が39%もいるとは。
男子諸君!運命を変えるならピアスよりもデコを出せ!!


【ジョイントセッション 電子情報通信学会 ヒューマンコミュニケーション基礎(HCS)研究会 映像情報メディア学会 メディア工学研究会 テーマ:「顔とコミュニケーション」6.日本人の表情記述法(J-FACT)による表情研究】
日本人の怒りの表情は無表情になる。
悲しみの表情をする時視線を下にするなど、
日本人はユニバーサル表情に当てはまらないのがある。

【なぜ“似ている”と感じるのか?】
研究の仮説
■類似の部位を持つ顔は全体的に似ていると知覚される
■類似の部位の特異性が高いほど、より似ていると知覚される
→平均にではなく、ユニークに似ている場合に、強く“似ている”と感じる
実験結果
■「眉入れ替え」条件と「輪郭入れ替え」条件において、入れ替え部位の特異性に主効果がみられた
■入れ替えた部位が特徴的な場合の方が、類似性がより高いと評価された
考察
■特徴的な顔は互いの類似性が低いと知覚された
■したがって、特徴的な部位を入れ替えると、その顔と他の顔との類似性は低くなると予想される
■しかし、特徴的な部位を共有する顔は多大に類似性が高いと知覚された
            ↓↓↓
2つの顔が(部分的に)ユニークに似ているとき、似ていると感じる。

【医療現場から見たリハビリメイク】
医者も、メイク後の患者の行動に驚く。
私自身もしている血流マッサージの実演がありましたが、いつ見ても効果が凄い。

【ラジカル鈴木の顔たち Radical's Faces】
イラストの解説等のお手伝いをしました。
ポスターには60もの顔のイラストを展示したのですが、それぞれをじっと眺めていると久本雅美さん似があったり、木村佳乃さん似があったり、モーニング娘。の紺野あさみさん似を発見したりと、見る人によって感じ方が違う顔のイラストがあり面白かったです。こういう感性的な発表が増えると顔学会はもっと良くなると思います。



顔学会名物?南芳高さんによる似顔絵
(ラジカル鈴木さん)


【顔画像による人種自動推定技術“@face”】
ラジカルさんの手伝いであまり他のポスター発表は見られませんでしたが、ちょうど隣りで興味深い発表がされていました。
人種を推定する手がかりとして、
人種別の顔の特徴
Asian(モンゴロイド)
●目:細い、蒙古ひだ
●鼻:低い、幅は中程度
●唇:厚みは中程度
●髭:薄い
●顔形状:平坦、頬骨が張り出す、短頭
●毛髪:太く直毛、または軽度の湾曲毛
●皮膚:黄色っぽい地色
European(コーカソイド)
●目:二重瞼、「涙丘」が露出、大きい
●鼻:突き出た、鼻筋が高い、狭い
●唇:薄い、口元が引き締まる
●顔形状:中央(鼻部)が突出、楔形、長頭
●毛髪:毛髪は湾曲毛または波状毛、体毛・ヒゲが濃い(男性)
●皮膚:明色または褐色
African(ネグロイド)
●目:「涙丘」が露出、大きい
●鼻:幅広い、低い
●唇:分厚い、口元がでっぱる
●顔形状:長頭
●髪:球状毛あるいは強い波状毛
●皮膚:濃色(メラニン色素量は多い)
(寺田和夫著、「人種とは何か」および、馬場悠男・金澤栄作編著「顔を科学する」、「広辞苑」より抜粋)

との事ですが、私の顔の場合は
●目:細い、蒙古ひだ
●鼻:幅広い、低い
●唇:分厚い、口元がでっぱる
●顔形状:平坦、頬骨が張り出す、短頭
●髪:強い波状毛
●皮膚:黄色っぽい地色
とAsian(モンゴロイド)でありながらAfrican(ネグロイド)の要素がかなり強いです。
※余談ですが、先日ラジカル鈴木さんに冗談で「僕は四分の一黒人の血が入ったクォーターなんです。」と言ったら一瞬信じていました。
顔の権威の一人であるラジカル鈴木さんでさえ一瞬信じてしまうほど、混血っぽい私の顔は、この「人種自動推定技術“@face”」で判定した場合、どのような結果が出たのでしょうか。
※“@face”評価実験結果だと、アジアンの人種推定結果は96.3%がアジアン(=正解率)となった。
また、ラジカル鈴木さんのイラストは日本人(モンゴロイド)の顔であっても「涙丘」をハッキリ描くのが特徴です。

【アニメーションキャラクタに命を吹き込む奥義】
スタジオジブリの百瀬義行さんの講演。
アニメを作る際、パーツの組み合わせで表情に変化をつける。
海外と比べて日本のアニメは無表情だけど観客にどういう表情かをゆだねる絵が多い。
う〜ん、だけど元々日本人があまり極端な感情表現をしないから日本のアニメも無表情なんじゃないかと思いました。



1日目の全発表が終了後に行われた懇親会では、友人のラジカル鈴木さん、「対話型GAを用いた似顔絵システムの検討」を発表された中洲俊信さん(名刺にご自身で描かれたとてもよく似た似顔絵があり驚きました)、同じく東京大学大学院の倉持基さん(私が出演した回の「開運!なんでも鑑定団 」をご覧になっていたとのこと)達と似顔絵やイラストの話題で盛り上がったり、いつも日本顔学会事務局としてお世話になっている水村理香さんにご挨拶させていただいたりしました。
私も日本顔学会に入会して4年、ようやく少し馴染んできました。


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