2007年12月28日(金)
11月21日に行われた、第32回 日本顔学会イブニングセミナー『顔画像の情報処理とその応用』に参加しました。
講師は韓国明知大学情報工学科教授、崔昌石先生。
日本語が達者な先生は日本語でお話いただきましたが、全部普通に聞き取れました。
今回は工学系の話でしたが、印象に残った部分を振り返ります。
※赤字が私の言葉です。
●顔情報処理の概念
・顔情報
静的な信号
骨格構造、皮膚色、顔の部品:個人識別、人種、印象、美貌…
ゆっくり変化する信号
皺、顔の部品の模様と色、皮膚の具合:年齢、健康状態、美貌…
早く変化する信号
表情、ジェスチャー:感情、意思表示、心理状態…
★顔情報(骨格構造、皮膚の色、顔の部品)で小学校の時の友達と30年後に会ってもわかる。
●個人顔の未来予測
5歳の子供の顔画像を元に10歳、20歳、30歳、40歳、50歳、60歳、70歳の顔画像を作成
>>ある程度、個人の未来顔の予測ができる
>>迷子、離散家族探しに応用できる
※顔のいろいろな形に対する年齢変化の違いは考慮しない
★顔には年齢が書いてある。全部ではないがだいたい50歳とかだいたい40歳というように。
私の観相学も「この顔はこう」「このパーツはこう」と全面的に断定しているわけではなく、顔に書いてある情報を元に「この顔はだいたいこういう性格的特徴傾向がある」と読むものです。またそれは、年齢以上にハッキリ顔に書かれてあると思っております。
●モンタージュ作成
顔の部位(眼、鼻、口等)を組み合わせてモンタージュを作成する。
顔形、部位のそれぞれに対する1200個のDBを構築(韓国警視庁で使用)
>>初心者も容疑者の顔が描きやすい
>>目撃者が多い(3人以上)と容疑者に非常に似たモンタージュが描ける場合がある。
(Aという人とBという人とCという人では別の部分を見ているのでかなり正確になる)
その他
●未来子供の予測
●整形シュミレーション
●化粧シュミレーション
●個人顔の識別
●個人キャラクターの作成
など。
以下、原島先生から
・「個人顔の未来予測」について。
顔のパーツの中で老化として動き出すのはどこか?
顔にも重力がかかっているから瞼、頬が特に目に付く。頬のたるみ。(痩けるタイプは目が奥になって頬が痩ける。)
10代の時は顔の形が変化する。だんだんアゴが大きくなる。アゴが小いと若く見える。
鼻の下と目の三角形は固定する。顔の真ん中から離れた部分が下がってくる(口角も)。
輪郭が逆三角形から正三角形になる。
観相家としては「今の年齢としてどうか?」という判断が大事だと思いました。
・「未来子供の予測」について。
赤ちゃんの顔が素晴らしいのは、赤ちゃんの顔は親戚中に似ているので、みんな自分に似ていると思って可愛くなる。
父親に何%、母親に何%というように物理的に似ているのと印象として似ているのは違う。どこを見て似ているのか?
印象でいうと「好意的に見れば似ているという印象を持ち、そうでなければ似ていないという印象を持つ」のだと思います。
・「個人キャラクターの作成」について。
個人キャラクターの生成が8頭身だったのを受けて、セカンドライフのアバターは8頭身。
西洋は8頭身でキャラクターを作る。日本は顔が大きいかわいい系が好き。韓国はどうか?
「なるほど。」と思いました。12月の前半にSecond Life参入支援サービスをやっているIT企業の方と会った時にこの話を伝えました。世界的なSLブームと比較すると日本での浸透は遅れていますが、それは「アバターに親しみやすさがない」という影響があるのかもしれません。
「顔情報処理の概念」について。
原島先生「こういうケースは一回その人だと思ったら、その人だと思っちゃう。(思い込んでしまう)」
この感覚はよくわかります。
ここで参加者の男性から
「実体験として、岐阜県県の高校の同級生を17年ぶりに横浜の電車で見た。」
「『(言葉で表現できないだけで)クラスメイトに間違いない。』という感覚があった。」
それを受けて
原島先生「そのクラスメイトは男性でしたか?女性でしたか?」
参加者「女性でした。」
原島先生「それは高校時代にその人が好きだったからわかった。(笑)」
実はそんなものなのかもしれません。(笑)
私も顔の専門家ですが、飲み屋で1回会っただけの人の顔は忘れてしまうこともありますし(それが一般的な美人でもそのとき関心がないと)、逆に個性的な顔の人は(一般的には美人ではなくても顔に注目するので)、数年ぶりに会ったとしても顔だけではなく会った時のシチュエーションまでハッキリ覚えていたりします。