2008年12月27日(土)
10月11日、12日、13日の3日間に渡り開催された「フォーラム顔学2008」第13回日本顔学会大会についてです。
今年もギリギリになってしまいましたが、「今年のことは今年のうちに」早足で振り返ってみたいと思います。
今までは、9月の土日を使って開催されていたのですが、今回は初めての3日間開催ということで月曜日の体育の日も入れて土日月の3日連続で東京大学の本郷キャンパスにて開催されました。
(参加者は過去最高レベル320名だったそうです。)
今年のプログラムは「顔とコミュニケーション」「顔と印象」「似顔絵」「表情コミュニケーション」「表情の解析と生成」「顔の文化・歴史」「顔とその機能」「顔の認識」「顔の形」をテーマとした演題で合計37件の口頭発表、特別講演「動的表情を処理する心理・神経メカニズム」、特別公開プログラム(第1部:マンガと顔 第2部:特別講演「たかが顔、されど顔…」 第3部:スピーチまんだら 顔って大切)ポスターセッション24件、デモンストレーション5件と盛りだくさんの内容。
さらには、当初は予定されていなかった小河原智子さんのカリカチュアブースと充実したフォーラムになりました。
これらを中心に、個人的に印象に残ったものをピックアップして振り返ります。
※赤字が私の言葉です。
【エージェントの表情と言葉が応諾行動に与える影響】
一言で言うと「どうすれば好印象を持ってくれるか?」→「喜びながら驚く」
【動画における顔のPositive typeとNegative type -顔の個人差と表情印象-】
顔の個人差
顔は構造的に普遍的である一方、個人差が顕著な組織である。
表情は顔を媒介として表出される。
・顔タイプ間の口の形状の違い。
Positive type→口角が上昇し丸みを帯びた形状
Negative type→口角が下降し横に伸びた形状
・顔タイプ間の頬の形状の違い
Positive type→頬が隆起した形状
Negative type→頬の隆起が少ない形状
・顔タイプ間の運動の違い
Positive type→大きな口と頬の運動変化
Negative type→小さな口と頬の運動変化
●顔タイプの決定要因は口
●考察
人間には他者の心的状態を正確に測ろうとする調整機構が存在し、動画条件ではこれが働いた可能性が推測される。
【「顔が大きい」と感じるのはどうして?〜顔輪郭の大きさとメイク効果についての一考察〜】
・背景
8〜9頭身の日本人タレント・モデルの出現
かわいい小顔への憧れ。
近年、美容業界では、小顔志向が根強く存在している。
●小顔メイクとは!?
「小顔」にみえるメイクアップ方法
シェーディングメイク(影をつける)
強調メイク(パーツを大きくみせる)
アイブロウメイク(眉の形をかえる)
リップメイク(唇に色を与える)
・
・
・
そもそも顔の大きさって、
“物理的な顔の大きさ”ד認知的な顔の大きさ”にずれがあるのでは。
※観相学的に言うとパーツの大きさや角度には“ずれ”がありますね。
最近は物理的な基準を求められるのですが、私は認知的に判断したほうがいいと答えています。
「顔が大きい」と認知される大きな要因として、輪郭全体の大きさ、特に横幅の大きさが検出された。
シェーディングメイクは「小顔」にみせる効果を明かに有しているが、同時に痩けた印象にもなってしまう。
しかしながら「なりたい顔」意識調査では、
大きい顔-小さい顔では小さい顔が97.5%に対し、
ふっくらした顔-こけている顔ではふっくらした顔が63.6%(女性82%)
という結果だった。
今後は、自然かつ小顔にみえるメイク方法「小さく ふっくら かわいらしい」をめざして、濃すぎないシェーディング + α 最も効果的な組み合わせを検証。
ふっくらした顔-こけている顔ではふっくらした顔が63.6%(女性82%)という結果に安心しました。
【アイメイクが相貌印象に及ぼす影響】
・目は口ほどにモノを言うと言いますが、実際には、どうなんでしょうか。
「ナチュラルメイク」「囲み目メイク」「縦グラデーションアイメイク」「横グラデーションアイメイク」の4つのパターンのアイメイクの相貌印象の変化を調べた。
「喜び」「中立表情」「悲しみ」の3つの表情で、4つのアイメイクパターンの相貌印象の変化を調べた。
●考察
横グラデーション→どんな表情でも近寄りやすい印象
縦グラデーション→喜びや中立の表情で近寄りやすい。悲しい気持ちも増幅されて近寄り難い。
囲み目メイク→どんな表情でも近寄り難い。
目の輪郭を強調する度合いが強くなると、目の印象が強調され、より意志を持つと認識されるのではないか。
私の観相学で目は意志を表し、コミュニケーションにおいて目の可動範囲が広いほど有利としています。
顔において眼は特別である。
不快表情は顔の上のほう(目元)に出やすく、快表情は顔の下のほう(口元)に出やすい。
アイメイクの効果
アイメイクは顔の魅力の向上に関与。
アイメイクは顔の魅力だけでなく、意志の強さなどの相貌印象が変化。
【見た目印象評価に用いる標準顔の作成及びその応用】
見た目の印象を左右する要素
顔・体型・髪型
体型・髪型は、衣服や髪型で大きく印象を変化させることができる。
顔は、化粧での印象変化には限界がある。さらに、特に男性は化粧しないため、今の自分の状態を包み隠さす見せることになり、印象操作は困難である。
肌から得られる情報(印象の判断基準)は?
シミ、シワ、キメ、肌の色、たるみ、…
平均顔は10歳程度若く見られるケースがある。
シワが多いと特に女性から高年齢と評価される。
【表情画像からの個人に依らない表情表現成分の抽出と似顔絵への表情付け】
anger(怒り)眉を下げる、上瞼を上げる、瞼を緊張させる、オトガイを上げる、唇を固く閉じる
fear(恐れ)眉の内側を上げる、眉の外側を上げる、眉を下げる、上瞼を上げる、唇両側を横に引く
happiness(幸福)頬w持ち上げる、唇両端を引き上げる、あごを下げて唇を開く
sadness(悲しみ)眉の内側を上げる、眉を下げる、頬を持ち上げる、唇両端を下げる
surprise(驚き)眉の内側を上げる、眉の外側を上げる、上瞼を上げる、口を大きく開ける
disgust(嫌悪)眉を下げる、鼻に皺をよせる、下唇を下げる、あごを下げずに唇を開く
【アジア8地域間における理想顔イメージの抽出と選考比較】
日本、上海、北京、香港、台湾、韓国、シンガポール、タイで顔が理想的だと思う女性芸能人の名前を3位まで回答してもらった。
各地域の在住女性の顔特徴を反映する可能性
台湾…顔幅が広い=丸顔
北京…目尻が上昇
タイ、シンガポール、韓国…長頭
日本…顔が短い(幼形特徴)・目が大きい
全地域での高選択率顔と形態特徴
顔が短い・目が大きい・額が広い
まとめと考察
理想顔には共通選好がある
幼形特徴(顔が短い)
目が大きい
明瞭な立体感
※各地域の理想顔の中で日本は、
小アゴ=小顔+大きい目でパーツが下寄り=“カワイイ”が顕著に現れていました。
【ロボットの表情のあいまいさと信頼感】
ロボットの表情によって、被験者のロボットに対する信頼度(従うか従わないか)が変化。
↓
眉毛が下がっているときは、
ロボットの幸福度と信頼度に正の相関あり。
ロボットの悲しみ度と信頼度に負の相関あり。
↓
はっきりとした幸福な表情は、被験者にロボットに対する信頼感を与えた。
眉毛がつり上がっている表情に関しては、このような結果が見られなかった。
【コミュニケーションロボットの表情から受けるストレス量の評価】
■不気味の谷の現象
ロボットの外観が人間らしくなるにつれて、より好意的、共感的になっていくが、ある時点で突然強い嫌悪感に変化。
↓
いくら人間に似たような表情でも、場面に応じて許容される表情でなければ、不快感を感じる。
※人間によく似たロボットだとアニメや映画のキャラクターのように親しみを感じますが、あまりにも人間に似た表情をする人造人間(アンドロイド)になってくると偽人間のような見えて不快感を感じるのでしょうね。
原島先生
キティちゃんの顔はあいまい。ミッキーマウスはハッキリしている。
キティはあいまいだからこそ受け手が「今日は喜んでいる・今日は悲しんでいる」と感じることが出きる。
日本人のあいまいな表情は国際社会で信頼感を得られない。
【味覚刺激に対する表情表出家庭の画像解析】
「おいしい」表情は「驚き」を経て「喜び」に
「まずい」表情は目と眉に変化
甘味水溶水では「おいしい」表情は表出されない。
「おいしい」は総合判断(甘い、酸っぱい、苦い、しょっぱい、辛い)
【小河原智子のカリカチュアブース】
今年は似顔絵のデモンストレーションが予定されていなかったのですが、デモのコーナーに行ってみると、ブースの準備をしている小河原さんがいらしゃったので、さっそく描いていただくことにしました。
2006年がハンギョドン、2007年が大仏ときて、今年は漫画チックに可愛く描いていただきました。(ヒゲの部分にイケブクロエイチと文字が隠れているのがポイントです)
小河原さん最新刊『かんたん似顔絵教室』(KKベストセラーズ)があったのですが、これは似顔絵の描き方としてだけでなく、“顔が何に見える?”とイメージを膨らませ脳を活性化させる意味でもいい本だと思います。
特に「第4章 何かに似てるぞ!デフォルメ画法」の、果物、花、野菜、ペット、動物園の動物、身近な動物、物、キャラクターに似ている顔だと発見する感性がとても面白かったです。さっそく購入しました。

キャラクターの左はキューピー。右ページ、原島先生の下に私が。上からドラキュラ、大仏、火星人、雷様。
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※星の子プロダクション主催「似顔絵博覧会“似るを知る”」が、2009年2月10日(火)〜15日(日)、東京芸術劇場5F展示ギャラリー(池袋西口)にて開催されます。
私も“似る”についてコメントしていますのでぜひ足を運んでみてください。
【Happy Face Photo】
中村年孝さんのハッピーフェイスフォトは、今までもあったものの、スマイル写真の撮影がメインで展示は少な目でした。
今年はニューヨーク、インド、イタリアで撮影した写真がたくさん展示されていて、見ているだけでも楽しめました。

偶然にも暖色系のスクエア型のメガネの女性が3人並んでいたので“小河原3姉妹”と名付けました。
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小河原さんに(ヒゲとメガネだけでなく)アゴのラインが私と似ていると言われたインド人。
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黒い肌と白い髪のコントラストが神々しいです。
中村さんによると「インド人は愛想笑いをしない。真顔とスマイルの2つ。」だそうです。 |
【同調的表情応答時の視線方向が他者からの好感に与える影響】
送り手が笑顔をみせ、受け手から同調されると…
1.送り手は、笑顔をより長く持続させる。
2.送り手は、受け手に好感をもつ。
表情模倣(受け手の立場から)
人は、他者の表情を見ると、非意識的に相手と同じ表情を作る。
同調的応答(送り手の立場から)
表情模倣=同調的応答
受け手は送り手を模倣する=送り手は受け手から同調的に応答される。
同調的応答と視線方向の関連
笑顔は送り手を直視して表出されたほうが
・すばやく認知される
・強い笑顔と認知される
考察
送り手の幸福顔に受けてが同調する際、
送り手の目を見て表出することで、一層強く好まれた。
→直視笑顔が好まれた、他の理由
・同調的表出は視線交絡によって促進される。
・逸視状態だと、送り手の注意が受け手の視線方向に逸れ、受け手の顔を見なくなった?
【「歴史写真」に見る、昭和天皇 顔の変遷】
“江戸時代の古い体制を捨て”というのがよくわかる顔の移り変わりで、初期の写真を見ると口は昭和天皇に似ていると感じました。
初期の段階からヒゲを生やした写真もありましたが、中期、後期と威厳を持たせるためかだんだんヒゲの量が多くなっていました。
ちなみに購入したばかりの小河原さん最新刊『かんたん似顔絵教室』(KKベストセラーズ)に、58人の歴代首相の似顔絵(第91代福田康夫さんまで)があったのでヒゲを生やしている人の数を調べてみたところ、このような結果でした。
歴代首相の一代から二十五代までの15人は、うち12人がヒゲを生やしている。
二十六代から四十三代までの15人は、うち12人がヒゲを生やしている。
四十四代から七十三代までの15人は、うち4人がヒゲを生やしている。
七十四代から九十一代までの13人はみなヒゲを生やしていない。
最後にヒゲが確認できるのは、55代の石橋湛山で、56代の岸信介以降の首相にはヒゲがない。
私が日常的にヒゲを生やしたのは1999年からですが、最近はかなりヒゲ人口が高くなっています。
小泉さんのライオンヘアもあったわけですから久々の“似合うヒゲ顔総理”の誕生も待ち遠しいです。
【『婦人画報』にみる口元へのこだわり】
「化粧問答」「お化粧問答」に寄せられた相談
歯の色が気になる、息が臭い、口の周りの髭が気になる、唇が分厚い、口の周りの白粉がのらない、唇が荒れる、口がとがっている、口を小さくしたい、口の周りの肉が多く、顔が垂れ下がって見える、上口が出ている、食べ物のカスが歯の表に付着し、黄色になる、反っ歯のため口の形が見苦しい.矯正の方法、唇の両脇に亀裂が入り治らない、唇が薄い.引き締まって見えない、上唇が短いためか笑うと歯茎が見える、アクチが出きる、口紅を塗り続けるとそこが黒くなる、紅焼けしない良い口紅は?、二重顎
考察
・黒い歯との決別。白い歯へのあこがれ
・白い歯への啓蒙思想
・口元は形状、質感にこだわる
・小さな口へのあこがれ(当時の高畠鼻宵の絵)
・肌の一部としての口元
【『婦人画報』に見る襟白粉と額化粧について】
「化粧問答」で投稿された額に関する悩み
吹き出物、脂顔、額の皺、額の形が悪い、生え際が薄い、おでこ
額の生え際に関する相談
・額の生え際が薄い
・広すぎる額を狭く見せる方法
・額を形よく髪を結い上げるために生え際の髪を増やす方法
・額の生え際に脂が多く髪結いがしにくい
まとめ
近代化や西洋化に伴って、日本画のような平面的な美しさから西洋画に見られる生身のようなリアルさ、美しさを求める傾向。
「白粉の白いのは血がかよわない、必ず肉色を使え」と言われた。
【動的表情を処理する心理・神経メカニズム】
表情は感情コミュニケーションにおいて重要な役割を果たしている。
日常の表情は動いている。
しかし、従来の心理学・神経科学研究の多くは、静的刺激を使用。
動的表情を処理する心のはたらきは、ほとんど検討されなかった。
本発表
動的表情を処理する心と脳のメカニズムについて調べた、我々の心理学研究とfMRI研究を紹介。
自動的に喚起される心のはたらき(e.g.,知覚・感情・運動共鳴)に注目。
まとめ
動的表情に対して、静止画の場合に比べて、質的には同じだが、より強い感情が喚起された。
動的表情を通した表情コミュニケーションは、これまでの静止画研究で想定された以上に感情的であることを示す。
眉間を寄せた怒りの表情を見た時、被験者も眉を寄せ下を見る。
静止画は最近の文明。モーフィングはもっと新しい。
一部、モーフィングによる笑顔が軽蔑の表情になっている。
考えてみれば、古典観相学も私の観相学も静止画ばかりを見ていました。
顔相も静止画ではなく動画で表情が変わる瞬間)判断すべきである。
これからは動的表情(表情の変化)についても研究・解説していかなければなりません。
【化粧顔及び素顔の認識における脳内過程について】
Mirror neuron
自分と他者の行動を同じようにコードするニューロンが発見。
=>自分と他者の行動を混同しないのはどうしてか?
・自分の化粧顔と素顔で差=>化粧顔は他人顔?
人と目が合うのは喜びになる。
自分にとっての化粧の意味と他人にとっての化粧の意味は異なる。
まとめ
・自分の化粧顔は自分の素顔と区別され、自分の化粧顔をみている時、他者の認識に近い脳活動が現れる。
・見る/見られるの関係性において他者の視線をふまえた社会的自己を構築することが化粧の意義である、社会的なコミュニケーションの場で重要な役割を果たす。
・自分にとっての化粧の意味と他人にとっての化粧の意味は異なる。
【自者及び他者の顔の認知プロセス】
KeyWord : Mirror
自己の研究は鏡を使って行われてきた。
自分は他者が居るから自分を意識する。
(自分を知らない自分が他者と居ることを想像してみよう)
他者にとっての自分は鏡を通してして意識できない。
他者の視点にはなりえない。
=>このジレンマに人は悩まされる。
自分の顔は鏡像で認知されている。
・・・女性は毎日自己を認識しながら(意識的にも無意識的にも)化粧をしている・・・
結果
自分の顔は他人の顔より正像を選ぶ確立が低い(鏡像を選ぶ確立が高い)
結果
自分の顔については化粧顔の方が正像を選ぶ確立がより高い。
まとめ
・自分は鏡像が好き。(=毎日見ている自分が好き。)
【選好における身体化された無意識過程の意識】
化粧品
「皮膚に塗ることによって身体の一部になる」
顔を中心とする将来における自分の身体の延長
1.59秒(約2秒)で商品を選択している。
【側面観造形数量化解析の方法について】
仏像はインド・パキスタンで発祥(ギリシャ彫刻の手法を使った)
仏像の横顔造形が全体的に欧米人に見られる形状に近似していることは興味深い。
【多次元尺度法を用いた仏像側面観の特徴分析】
中国と日本の仏像の特徴の違いは、額部分の形状の凹凸と、下顎部分の下唇の突き出し方にあることが示唆された。
【能面の表情を創出した名人の技−宝生本面の「獅子口」と「小面」について】
人間の顔は左右不同が自然
面の動きによって喜怒哀楽の感情が表現される
【マンガと顔】
しりあがり寿さん、わたせせいぞうさん、さかもと未明さんの3人の漫画家と原島先生のトーク。
さかもと未明さん
「眉ってたぶん自意識」
「わたせ先生の描く男性は、眉が本人に似ている」
「わたせ先生はモテを意識している。“俺は好かれるんだぜ”というのが眉に出てる。」
顔のどこから描くか?
わたせせいぞうさん
「輪郭から描く」
わたせせいぞうさん
「日本はキャラクターの世界だから顔のないマンガはあり得ない」
「顔ってその人が背負っている社会的なもの」
「女性は映像的に移り変わる。表情に責任を持って。表情の変化、表情が豊かなのが大事。」
さかもと未明さん
「女性は品がないとダメ。私は表情が豊かだけど品がないと言われる」
【特別講演「たかが顔、されど顔…」】
日本顔学会会長 原島博先生の講演。
「たかが顔学会、されど顔学会」と題し、最初は日本顔学会の歴史について。
香原志勢『顔の本』(講談社)1985年
村澤博人『美人進化論』(東京書籍)1987年
が教科書だった。
ワークショップ「顔」
シンポジウム顔 1992.3.9 新宿工学院大学 参加者280名
94年8月:顔研究者ネットワークの発足。でも、学会はかなり先。
94年9月:『科学朝日』にて馬場先生が顔学宣言
95年3月:日本顔学会発足 ※世界初の顔学会
普通の学会は、研究実績のある専門家(≒大学の先生)に入会資格がある。
顔学会は顔に関心のある人なら誰でも入会できる。
1999年 『大顔展』上野、名古屋、札幌、福岡
※会員数400名の学会が開いた40万人相手の研究発表会
開かれた学会
普通の学会:学会内部で研究発表
顔学会:学会外部への積極的発言
顔学は差別にも結びつく学問
いつも社会にオープンでなければならない!
日本顔学会
さまざまな斬新な試みをする学会
さて…
顔学の難しさ、顔学会の難しさ
「顔学」の歴史は古い
以下、公開シンポジウム「顔と文化」シリーズ(第3回)『心を映す顔』の基調講演『心を映す顔』と内容がかぶるので割愛します。
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顔はタブーになった
「人間、顔じゃないよ、心だよ」
学問の世界でも美人研究はタブー
顔は親からの授かりもの
一生変えられないもの
変えてはいけないもの
=>変えられないものに優劣をつけることは社会的な差別になる
しかし、そうではない。顔は変えることができる。
一方でマスコミの関心は高い
そのほとんどは人相学、顔診断
あるいは美人の動向
顔を科学することの難しさ
顔はあまりにも、身近な存在である
抽象化しにくい
顔は人間そのものである
客観的に対象化しにくい
顔は社会的な存在である
ときとして差別に結びつく
顔学は関係の学問である
顔は、客観的に存在するのではなく「見る人と見られる人の関係」の中にある。
【スピーチまんだら 顔って大切】
パネリスト:茂木健一郎さん、蜷川有紀さん、小笠原敬承斎さん、園山真希絵さん、日本顔学会から会長の原島博先生、副会長の橋本周司先生、同じく副会長の馬場悠男先生
顔は人間の本質に関わる。(茂木さん)
気持ちが内側に籠もってる人は顔も内側に寄っちゃうんです。(原島先生)
絶対に自分は太らないと思うと太らない。(園山さん)
2日目のお昼の休憩から戻ってくると通路側の席に『顔相恋占い パッと見でわかる男の本性』(池田書店)を読んでいる女性がいて驚きました!
※ピンクでパーツのイラストが大きめのデザインなのでパッと見でわかりました。
懇親会でその倖田來未似(または金井克子似)の方に声をかけさせていただいたところ、エステとメイクの先生で、顔相も取り入れるために読んでいたとのことでした。
美しい女性にサイン、握手、写真を求められ、アイドルになったような気分になりました。
ありがとうございました。