奈良大学公開講演会「阿修羅のひみつ-天平の至宝を未来につなぐ-」
7月13日(日)の奈良デー。午前中は、
地上の楽園 奈良・春日大社境内「飛火野(とびひの)」 でなつの鹿寄せ
令和7年 母子鹿の一般公開/鹿苑(ろくえん)でかわいいバンビちゃん
飛火野で鹿寄せ、鹿苑で子鹿の公開、そして若草山で奈良公園トリプルクラウン
と来て、午後からはこの日メインの奈良大学での公開講演会「阿修羅のひみつ-天平の至宝を未来につなぐ-」でした。

高の原駅に12時22分着。開始は13時。奈良大学までは徒歩で18分。歩いても間に合うけれど
※当日は9:00~16:00に、近鉄高の原駅(バスターミナル臨時バス乗り場)から本学構内行バスを随時運行予定です。無料となります。

ということで、奈良公園でたくさん歩いたし、暑いので、ありがたくバスに乗せてもらいます。

到着するとコスプレ女子がお出迎え


めっちゃ美しいキャンパスで天気もよくて最高です!


12時52分、着席。800人で埋め尽くされた講堂のほぼ最後列に。
後ろの席からざっと見たところ、白い頭の人が多くて肌色の頭もけっこういて、黒5、グレー3、白1、肌色1くらいの割合でした。

素晴らしい会場で、カラー34ページの立派な資料まで無料。

開始前には伝統芸能
挨拶 学校法人奈良大学 理事長 浅川正美 からはじまって、
趣旨説明 学長 今津節生
講演
そして、前半の講演
講演「阿修羅の来歴」 興福寺 貫首 森谷英俊
興福寺の八部衆立像
・阿修羅像(あしゅらぞう)
・五部浄像(ごぶじょうぞう)
・沙羯羅像(さからぞう)
・鳩槃荼像(くばんだぞう)
・乾闥婆像(けんだつばぞう)
・迦楼羅像(かるらぞう)
・緊那羅像(きんならぞう)
・畢婆迦羅像(ひばからぞう)
中でも人気ナンバーワンは、阿修羅像。
だが、出自は元来が仏教ではない。
実は、阿修羅に描かれた目は碧く髪は金髪だった。製作されて1300年経っている。
興福寺の阿修羅像は、男性には女性の顔に見え、女性には憧れの男性の顔に見える。
仏教成立以前からインドに流布していたヴェーダの神々の一人。由来を辿ればさらに古く、インド・ヨーロッパ語族が共通して信仰していたであろう最高神ではないかと考えられる。
阿修羅のサンスクリット表記はasuraアスラ。
古代ペルシャ(イラン)のゾロアスター教の聖典『アヴェスター』では神々をアフラ Ahuraと呼んだ。
インドのアスラと出自は同じで、語音も似ている。ペルシャにおけるhは、インドではsに音が転換することが知られていますので、本来、アフラとアスラは同一概念であった可能性が高い。
講演「興福寺と光明皇后」通信教育部長 文学部教授 渡辺晃宏
光明皇后(藤原光明子)は。仏教信仰の深さから仏教の殺生禁止の考えに基づき、鷹の飼育を禁止するほど。
光明皇后の奈良、仏教信仰への貢献は大きい。そして、聖徳太子信仰の成立。
講演「X線CTが捉えた1300年の新事実」学長
今津節生 奈良国立博物館学芸部 研究員 加藤沙弥
興福寺は、七転び八起き寺。
阿修羅様もCTを撮られているときにドキドキしたはず。
虫食いや亀裂はない。
内側にもう一つの顔。原型と完成像では顔が違う驚きの話。
2009年に開催された興福寺創建1300年記念 「国宝 阿修羅展」。東京国立博物館では95万人も集めた。
私も行きました。
「内側に木がある(腰のところ)」「背面の窓から釘」など心木の種類と釘の打ち方の話が興味深かった。
腕は同じ角度でヒジの角度は45度。微調整できる構造で手は自由に動く
内側にもう一つの顔。
左脇面の原型像の顔は完成像の顔以上に眉が極端に上がっていた。
ここで休憩が入り、博物館に特別陳列「阿修羅のひみつ」を見に行くことに。

博物館に入ると


ニホンジカの骨格(雄)

トナカイの角(雄)
特別陳列「阿修羅のひみつ」




このように分解されるとわかりやすい。ある意味、本物の阿修羅象を見るより貴重かも?

中は左のようになっている。

3Dプリンタで複製した阿修羅像の面

阿修羅像それぞれの原型面


艦めしカレーフェア、時間があれば食べたかったが。
講堂まで戻ってきてロビーに貼られたポスターを撮影。

しかし、貪欲すぎる好奇心旺盛老人たち。ロビー前に設置された無料のパンフレット置き場に群がってバーゲンセールのおばちゃんのように「我先に!」と奪い合う光景に見たが、博物館まで行けば同じものが押し合いへしあいしなくても手に入れたれたのに。
講演「乾漆像の内面に隠れた顔から推理する制作者の意図」 愛知県立芸術大学名誉教授 元奈良大学講師 山崎隆之

X線CTによる興福寺乾漆像の研究成果の報告
阿修羅像の表情に心の軌跡
乾漆像の内側に隠れた顔から推理する制作者の意図
と、少しタイトルが変わっていました。
三面六臂の自然体 違和感を感じさせない絶妙な造形的計算
一般的な多面像(三十三間堂の二十八部案中の阿修像)は肩上に三面が並立。
興福寺の阿修羅像は、主面の頭部に両脇面の頭部を合体させ、主面の耳を開いて脇面を重ねることで耳を共有させている。そして、両脇面の髪の毛を主面の髷に合体させることで、三面の一体化に成功している。
この表現力の妙。
興福寺阿修羅像三つの顔、それぞれの表情

金子啓明氏の解釈。
それぞれの表情を経典の内容と関連付けて説明。
左脇面の「憂いと厳粛さが表れている」表情
右脇面の「心の動揺に負けまいとじっとこらえている」表情
そして「微妙な感情に揺れながらも何かを決意したような明瞭な視線をもっている」主面

ロビーにあったポスターと同じものがいただいた資料にありました。
阿修羅像の右脇面の完成像は下唇を噛んで泣くのをこらえているような表情だが、原型像では口を開けて何かに驚いているような顔だった。
「罪業と煩悩の懺悔と消滅、その結果としての心の浄化」が果たされる、その過程が阿修羅像の三つの顔に込められていると考えられる。
つまり、阿修羅像の造像のコンセプトは、釈迦の教えにより懺悔し、改心することで救われる、という一連の仰への道筋ではないか。
内省する目、心を語る口
阿修羅像右脇面の顔(懺悔、反省の表情)
眉を寄せ、唇を噛んで泣くのをこらえているよう
懺悔を終えた爽やかな表情、心を新たに信仰への決意を示す阿修羅像の主面
さすが、専門家の分析です。
第34回日本顔学会イブニングセミナー『阿修羅の顔の謎を解く』(元東京大学教授で日本顔学会会長の原島博先生の分析※当時)
阿修羅展で阿修羅の顔の謎を解く!!(実際に現物を見てからの私の分析)
フリーペーパー『thREAD(スレッド)』「コラム-阿修羅-」にインタビュー記事掲載。
で書いていますが、私は「阿修羅の左右の顔は仮面説」を唱えました。
山崎孝之先生の分析は、原島先生の説に近いですが、やはり仏像なので仏教と関連付けて考えるのが良いと思います。

中段の手は、本来は弓矢を持つが指先に力が入らず武器を捨てるかのよう

顔と手、それぞれの関連性を考える
これも見事ですね。顔だけを見ていては顔はわからない。
観相学も「顔(表情)と声を関連して考える」「顔(表情)と動き(仕草)を関連して考える」のが大事です。


素晴らしい会場で立派な資料まで無料で、高の原駅までの臨時の無料バスまで。奈良大学さんには本当に感謝しかありません!

高の原駅から大和西大寺駅を経由して大阪(大阪難波駅)まで戻ります。

大和西大寺駅には、大阪難波方面行きに青と白の電車、近鉄奈良方面には黄色と白の電車が停まっていました。

ブルーのほうは伊勢志摩方面への観光特急「しまかぜ」で、

黄色のほうは、大阪・関西万博の河瀨直美さんがプロデュースするパビリオン「Dialogue Theater -いのちのあかし-」のラッピングカーでした。

大阪まで戻ってきました。

わたしは、奈良派。









