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日本顔学会セミナー「美男子が競い、明治が廻る!」
〜「美男子」をめぐる身体イメージと近代日本文化・社会〜

2004年8月16日(月)
5月24日に行われた、第25回 日本顔学会イブニングセミナー「美男子が競い、明治が廻る!」〜「美男子」をめぐる身体イメージと近代日本文化・社会〜に参加してきました。多忙ということもあり、あっという間に3ヶ月が経ってしまいましたが、振り返ってみたいと思います。
講師は東京大学大学院・学際情報学府・博士課程の土田健一さん。
今回は「明治時代の観相学」に関することについても調査・分析がされていましたので、今後の私自身の方向性を考える上で大変参考になりました。
内容は、明治43年から44年に「毎日電報」という新聞紙上で開催された「美男子コンテスト※正式には(代表的日本男子募集す)という催し」において形成されていた男子の理想的身体イメージについて分析し、社会的・文化的背景の中で「美男子としてのイメージがいかにして作られていったか」を考察するというものでした。
※赤字が私の言葉です。

まず、資料にあった当時の新聞の「募集広告の記事」に衝撃を受けました。
『日本の代表的美男子(びなんし)を募集す』というタイトルに続くのは、“或骨相学者は言った「心の明暗は最も巧妙に其顔貌に刻込まれる」と。或心理学者は言った「人間の顔は其人格を写す精緻な鏡である」と。或外交官は言った「外交家の最初にして又最終の條件は顔面の優秀にある」と。”という観相学を肯定する文章であった。他にも『顔貌は個人の鑑』『顔面は人間の明鏡也』といった文字が並び、
この募集要項で示されたのは「美男子の基準は“顔”」であり、“顔はその個人を表している”と当たり前のように書かれていました。(或骨相学者、或心理学者、或外交官というように“或”と表現されているため、そのように言った人物が本当に存在したかは不明だが、当時「顔が人間の内面を写し出す」という考え方は、偏った考え方では無かったように思われる。)

さて、「美男子コンテスト」審査員である専門家の共通する「美男子観」を探ると「やさ男・色男の否定」であった。が、しかし、応募されてくる写真はやさ男が少なくなかった。そこで、「美男子」の呼び方も「びなんし」から「びだんし」へ変えるなど顔貌の美醜だけでなく「体格」の良さ・身体の「健康」さも重視され、「たくましい男子」がこのコンテストでは求められるようになっていき、最終的には「面貌」と「体格」の良さが「美男子」の両輪となるのだが、私が注目したのは『顔面は人間の明鏡也』とあるようにこの「美男子コンテスト」では観相学的な方法によって審査がされていたということだ。
特に「美男子コンテスト」の審査員の一人である坪井正五郎(人類学者/理学博士)が、「観相学に科学的意味を担わせようとしていた」ことである。
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坪井氏は、「私が此所に観相と申しますのは人の眉や目や鼻や口や面の皺杯の形状とかを見て其人の性質や遅鈍であるか、鋭利であるか、善良であるか、不良であるか、従順であるか、強情であるか等を推察する事でございまして、決して彼の面部に三停、五官、四涜、五岳、六府等の名目を設け其部の形状を見て吉凶福禍を知ると云うが如き類を意味するのではござりません」
(坪井、重ね撮り写真の術を応用したる観相法)
としていて、
坪井正五郎の論旨は
「人相術」→「未来の出来事を占う全くの空想」
「観相学」→「容貌」から「性質」を推知することは「しばしば成功」。「感情」が神経の異常を来たし「それが常態となる」

であったことが説明された。
また、「観相学的知の変容」として
●坪井の宣言した「観相学」
・人相術などにおける「吉凶福禍」の占いを一切排除
・その人の現在の性質のみを推察
・実際に感化院の不良少年の重ね撮り写真を撮影。その狡猾などの正確の典型例を写真によって示す。
●観相学流行の時代的背景(明治時代)
・強固な地縁・血縁の農村共同体の解体と近代都市の誕生
・「見知らぬ者」への不安
・「未知」を「既知」に変えるコード必要
「“交際技術”としての観相学」
●当時の修養論や生存競争論との結合
・立身出世の打算、人心掌握術…
●顔や表情を記号化
・読解、比較、差異と同一性によって分類
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といった分析がされ、
明治時代の観相学の流行は、未知を既知にする(したい)ために起こった現象で、当時の観相学は「いわば人類に向けた博物学」であったのではないかと結論付けていた。

このように、時代が大きく変化する時に観相学が流行した歴史を考えると、インターネットの出現によってコミュニケーションのあり方が大きく変わった現代においても同様で、観相学(科学では観相学を否定しているが、科学的に証明できる観相学的なもの)や顔学そのものが脚光をあびる(流行する)のではないかと私は予想します。


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